2024.01.08 01:37「ローライコード」: / 本編沿い / 池田特派員→刹那 その音は、ともすれば銃声のように彼に聞こえたのかもしれない。「…悪いが」 地の底から響くようなその声に、全身が総毛立つような感覚を覚えなかったといえば嘘になる。「すぐにメモリーを削除してくれ」 その黒髪の、明らかに中東系の顔立ちをした若者は、俺の構える一眼レフに向かってそう言った。「…そうだよなあ。そうなるよなあ」 俺はファインダーを覗き込んでいた瞳を彼に向けて、ぽりぽりと頭をかく。「悪かったよ...
2024.01.08 01:36「大人の男」:/ 本編沿い / 刹那×スメラギ 彼とその姿との間には、本当はマリアナ海溝のような深い溝があった。たった数秒前までは。「…あら」 我ながら中途半端な声色だったと思う。もっと大袈裟に笑ってやればよかったのに。「どうした」「刹那、」 青年の声に反応して、スメラギは右手で自身の顎の辺りに触れるような仕草をした。格納庫で愛機の整備に出ずっぱりだった刹那・F・セイエイは、それを見て自らの顔に手を伸ばす。顎に触る、というよりかは、掴む、とい...